デザインによって人の行動を促す、または制御する<その1>

こんにちは、教務部中野です。
先日まで「ユーモアデザインアワード」という、ユーモアをテーマにした企画、商品開発をするという展示会を行っていました。

「ユーモア」とは。
その答えは人により異なり、正解はありません。しかしながら、人の心を和ませたり、人間味を滲ませたおかしさなどが現されます。

「デザイン」とは。
キャラクターや広告、雑貨など何か具体的な物体に落とし込むことを考えがちと思いますが、デザインには人の行動を促す、または制御する力があります。

↓まずはこのリンク先をご覧ください。
日本人デザイナー宇田川信学さんによる挑戦について書かれています。

NYの地下鉄は犯罪が多発してとても危険な場所でした。犯罪が起こりがちな場所のイメージって、どんなものでしょう。
汚い、暗い、狭い、などなど。そういったシチュエーションが人の気持ちに「やってもいっか」と助長させる何かが作用しているように思えます。そこに「ゴミを捨てないでください」「犯罪はいけません」という看板を立てるより、清潔に、明るく、見通しを良くすることによって、心理的に犯罪をしにくくさせる環境を作る方が、実は効果があるのです。

2年生たちは1年生の時に、クライアント役に株式会社サンシャインシティ様をお迎えして企業プレゼンテーションを行いました。20年ほど前、サンシャインシティビルの地下街は今よりもう少し汚れてて雑然としていましたが、明るく環境を変えることで治安がぐっとよくなったというお話を伺いました。
デザインによって人の心理に変化を起こさせた例のひとつです。


前置きが長くなりましたが、今回の展示の中で「デザインによって人の行動を促す、または制御する」という視点で4点をご紹介します。

デザイン・アート科3年生 浅見有香
「言う前に見てステッカー」
 言う前に見てステッカー2

グラフィックデザインやプロダクトデザインの観点からみると、完成度は低く作例の数も少なすぎるのですが、中2くらいの頃、きっと誰しも一度は経験したであろう、

母「あんた、またマンガ描いてるんでしょ!」
私「ちがうもん、勉強してたのに!あ〜やる気なくした(←いつもはマンガ描いてるけどたまたま勉強してた)」

というやり取りを思い出しました。
このステッカーを貼ることによって、珍しく勉強をしている娘のやる気をそぐような母の台詞を封じて、些細な家庭内トラブルを回避できるのでは?という効果が期待できます。大人になってしまった今このステッカーの出番はなさそうですが、くすっと笑える要素を感じます。地下鉄のデザインと規模は違えど、これも「デザインによって人の行動を促す、または制御する」提案のひとつになります。

言葉ではっきりコミュニケーションを行えば済むこともあります。しかし、喧嘩して気まずい時、思春期の複雑な感情、そういったものが邪魔してうまく言葉で伝えられないことはありますよね。みせ方はまだまだですが、白黒でまとめたのもシンプルに言いたいことのみ伝わって効果あり。


作品展示は6/12(金)13:00まで展示されています。
このほかにもユーモアあふれるデザインもあります。ぜひご覧ください。