「世界に文化で貢献する」を建学の精神として1955年にOCHABIが誕生しました。
OCHABIが創立する頃の日本は、戦争の混乱から復興へと転換し、モノの豊かさを学ぶことに夢中でした。その流れの中で創立者である服部廣太郎は「文化」の大切さを思っていました。
永きに亘り科学研究に従事した廣太郎が、復興に「科学で貢献する」ことは十分に可能であったのですが、そうではなく「文化で貢献」することの重要性を提起したのです。 廣太郎は、「観察」が「科学」とともに「芸術」をも生みだし、分け隔てることができないことを、自身の体験で知っていました。 だからこそ、これからの日本には、科学が重要であることは当然として、「科学と芸術」が互いに発展していく「文化」の構築が最も重要であるとの思いがあったのです。 そして「文化」には、科学だけではなく芸術の発展が必要である、これは生物学者ならではの答えでした。「文化で貢献する」美術学校、この答えは、ただひとりの思いに留まりませんでした。科学者、 芸術家、文化人、財界人など多くの賛同者が集まったのです。廣太郎は、私邸を提供し、理念への共感が広がり、学校の創立につながったのです。共感がなければ美術学校をゼロから始めることは不可能でした。そして廣太郎の提起は、社会の要請とも合致し、永きに亘ってOCHABI に多くの人を集めることとなったのです。
「事実に即して」
私は初めからこう信じていた。自然科学というものの道筋は、事実に即 してそれから理論に入るのが本道である。そのためにはどうしても現物 に接触しなくてはならん。現物に接触するには、われわれのほうの部門 でいえば動植物を採取しなければならん。そして自分で観察しなければ ならん。 (科学朝日 1948年(昭和23)生物学御研究室の天皇)
「造化の妙機」
多数の人が常に無心に見て、何の興味をも感じない一片の木の葉、其木 の葉の一生は如何なるものかを研究すれば、ここにも造化の妙機が窺はれるのである。 廣太郎は、何気ないようなものであっても、じっくりと観察をしてみれば、世界そのものの成り立ちに触れ、驚くことがあると、科学的な視点の重 要性を説いています。 帝国大学理学大学植物学科に入学した当初から小笠原などでの植物採取を経験した廣太郎は、「事実の観察」、実際に目の前のものを「よく観る」 ことを重要視していました。(家庭必読通俗科学 婦人叢書;第1編 1908年(明41.6)P.88)
「無限の意味」
”吹く風の色のちぐさにみえつるは 秋の木の葉の散ればなりけり”(古 今集)凡ての葉の一生は斯くの如きもので、委細に玩味すれば、一片の 木の葉にも、無限の意味があるやうに思はれる。 (家庭必読通俗科学 婦人叢書;第1編 1908年(明41.6)P.88)
1955年(昭和30年) | 学校教育法に基づき、総合的な美術教育を行う学校法人服部学園を創立。東京都知事より認可を受ける。 |
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1957年(昭和32年) | 学校名を御茶の水美術学院に改め、御茶の水美術専門学校の前身である研究科を新設。 |
1963年(昭和38年) | 1号館完成。 |
1965年(昭和40年) | 研究科を本科に改め、デザイン部と絵画部を設置。創立10周年、記念式典を行う。 |
1969年(昭和44年) | 2号館完成。 |
1975年(昭和50年) | 創立20周年、記念式典を行う。 |
1978年(昭和53年) | 本科を独立させ、専修学校法に基づき、3年制のデザイン科と絵画科を有する御茶の水美術専門学校を設立。 |
1981年(昭和56年) | 3号館完成。 |
1985年(昭和60年) | 創立30周年事業を行う。 |
1993年(平成5年) | 「ゼロワーク」「ゼミワーク」「テーマワーク」「5系」のコンセプトによる教育システムを開発。実現のため施設・設備を全面的にリニューアルする。 |
1994年(平成6年) | 文部大臣より「専門士」称号付与の認定を受ける。 |
2001年(平成13年) | 大学、短期大学、専門学校の卒業生を対象とする編入学制度を設ける。 |
2003年(平成15年) | カリキュラム強化のため「ゼロ&フリー」へと教育システムを革新。「5系」を「3フィールド」に改める。 |
2005年(平成17年) | 創立50周年記念式典を行う。 |
2008年(平成20年) | 学園全体を大幅にリニューアルする。御茶の水新校舎完成。佐藤可士和氏による、OCHABI VIシステムを導入。 |
2009年(平成21年) | OCHABIのロゴデザインが「交通広告グランプリ2009」(JR東日本企画主催)サインボード部門で優秀賞を受賞。 |
2011年(平成23年) | 4年制の高度イラストレーション科を設置。文部科学大臣より「高度専門士」称号及び大学院入学資格付与の認定を受ける。 |
2015年(平成27年) | 創立60周年 |
クリエイティブの正解は1つではない。人それぞれの考え方やセンス、活動などが答えとなっていき、社会に新しい視点を提示していく。1人1人が独自の色を持ち、その色が共鳴し合い新たなグループを生み出す。OCHABIはそんなクリエイティブ活動の可能性を創造していく場。もっとも重要なことは、自分の中の輝く色を見つけることだ。無限に広がる可能性をマルチカラーバーに込めて表現した。