【OCHABIの視点】環境を知ろう 都市編 水道事情②そろそろ延命措置が必要です

こんにちは、指導部の戸田です。

さて今回は前回の続き。
現在の下水道について考えていきましょう。

みなさんが使用した生活排水は汚水下水道管を通って下水処理場(水再生センター)に集められ、
幾らかきれいにしてから海へと流されています。
ここまではなんとなくイメージが湧くかと思います。

今でこそ排水をそのまま川に垂れ流してはいけない、という考えが定着していますが、
ほんの半世紀前まではあまり重要視されていなかったようです。
現にOCHABI横を流れる神田川に処理排水を流している落合水再生センターの稼働は1964(昭和39)年。
合わせて下水道の整備も行われていくわけですが、その当時は下水道の普及率が30%にも満たなかったといいます。
東京でほぼ100%と言えるレベルに達したのは1996(平成7)年。下水道普及率は地方に行くと下がり、現在でも徳島県は19.3%です
意外と整備されていない感じです。
人口の少ない地方なら流入する排水も限られるので許容されるのかもしれませんが、東京のような大都会ではそうもいかない。
高度成長期を挟み直線経済を崇拝した時代、様々なモノが溢れかえった代償として、様々な排水が下水道管に流されず川に流れこんでいったのは想像にたやすいところ。
1973(昭和48)年当時、かぐや姫のヒット曲で一躍全国区となった「神田川」も、描かれたのはドブ川でした。



ここで注目してほしいのは下水道管の敷設次期。
一般に下水道管はヒューム管と呼ばれ、セメントでできています。ドラえもんに出てくる空き地の土管、ですね。
上述の通り、都市部では高度成長期以降徐々に下水道の普及率は上がっていきます。下水道としてのヒューム管が街中に張り巡らされていったわけです。
しかしヒューム管の耐用年数は50年。ということはかぐや姫のころに埋められたものはちょうど満了時期が来ていますし、
それ以前までに埋められたものは耐用年数を優に超えていることになります。

都市インフラはよく人間の体に例えられますが、下水道管も同じです。
下水道管にも人間の体のように内出血がありますし、動脈硬化や血栓もあります。
何かしらのメンテナンス=延命措置をしなければ故障し、ひいてはインフラ機能が失われ都市が崩壊する恐れも出てきます。
余談ですが小生もちょうど50歳に達します。耐用年数とはよく言ったもので、自分にもそろそろ延命措置を施さなければならないことを痛感しています。



人間のように一つや数か所の傷や症状なら対処のしようもあるのでしょうが、全国下水道管の総延長は約49万㎞
しかも土中に埋まっていることも相まってどこが詰まっていてどこが漏れているのか、特定するのは一筋縄ではいきません。
ドローン、管内テレビカメラを使っての調査や昔ながらの人力での清掃も財政を割いて行われていますが、
当然ながらマンパワーの圧倒的な不足は否めません



新宿のマンホール蓋が吹っ飛んだ一件は実環境が設計強度を超えた一面もありますが、膨大な下水道管を扱う難しさから十分なメンテナンスが施しきれていない、
言い換えれば“できない”事情があることを物語っているのです。

この課題に、我々OCHABIとしては何ができるでしょうか。