■設置の背景
超高齢化とそれに伴う医療費増大など、日本をはじめとする世界が抱える社会的な課題に対して生命科学が担う役割はますます大きくなっています。その解決策のひとつとして期待されているのが疾患予防の科学です。特に最近の個の遺伝子情報(全ゲノム解析)の解明と、医療機器・各種デバイスから指数的に生み出される情報は、従来の個々の遺伝子解析から疾患を理解する生命科学の立場に加えて、環境を含めたシステム全体の情報を解析することにより従来では見出せなかった疾患予防分野における解決策を生み出すなど、生命科学におけるパラダイムシフトが起こりつつあります。
■社会の要請
このように疾患予防科学は新分野であり既存の大学院ではコース・領域の設計が難しいことから、東京に拠点を置く4大学(東京医科歯科大学、お茶の水女子大学、学習院大学、北里大学)が大学院の枠を超え生命科学分野におけるそれぞれの強みを連携させることで、これまでにないコンセプトの新コース・領域を設立いたします。
2017年12月09日(土)、16日(土)の2日間、昨年に引き続き、東京医科歯科大学で開講される「疾患予防科学コース市民公開講座」の土曜ゼミナール「疾患予防科学コース市民公開講座・科学と社会を学ぶゼミ」に御茶の水美術専門学校(OCHABI)が招待されました。私たちは竹本佳弘先生(東京医科歯科大学特任教授・理学博士)の協力のもと、大学院生や社会人を対象に研究活動に不可欠な ①観察力(本質を見抜く力)②論理的思考力(ロジカルシンキング)③情報伝達力(プレゼンテーション)の3つを重点的に指導してきました。今回は、まる1日を使って言葉や文字といった「文字情報」を中心に問題提起からその解決の道筋を探っていく前半パートと、絵や図といった「視覚情報」を使って同様の道筋を探っていく後半パートに分けて行われたのですが、受講生の方々は最初から最後まで驚異的な集中力で取り組んでいました。今回の目標は、SDGsの「1.貧困をなくそう」と「5.ジェンダー平等を実現しよう」のそれぞれが抱える問題点を深く知ることでしたが、特に視覚情報で行われたグループディスカッションは盛り上がり、いつのまにかチームワークも完成されていました。そしてまたこの東京医科歯科大学の市民講座の取り組みもまさにSDGsの「4.質の高い教育をみんなに」の実現を目指すものだと実感しました。御茶の水美術専門学校は、今後も専大連携を通じて「17.パートナーシップで目標を達成しよう」を実現したいと考えています。