作品紹介 絵本『アンジュール -ある犬の物語-』

こんにちは! 講師の天満屋です。
今日は学生のみなさんにオススメしたい作品をご紹介します。

ご存知の方も多いとは思いますが、
今日ご紹介するのは、
ガブリエル・バンサンによる『アンジュール ある犬の物語』(1986)です。

言葉もなく、鉛筆(木炭?)デッサンのみで物語が綴られて行きます。
その描線一本一本に宿る力が圧倒的で、
ページをめくるたびに移り変っていく犬の表情に、胸が締め付けられます。
絵の力でここまで人の感情を揺さぶる事ができるのか、と改めて思わせてくれる作品です。

いったいこの本の作者はどんな人なんでしょう。

という事で、調べてみました。
作者のガブリエル・バンサンは1928年、ベルギー・ブリュッセル生まれ。
『アンジュール』が刊行された時は58歳だったようです。
若い頃は美術アカデミーで学び、絵本作家となったのが53歳。
2000年に亡くなるまで、たくさんの作品を生み出しました。

そんなガブリエルさんが生まれたベルギーという国は、
19世紀に独立した君主制国家です。
第一次世界大戦ではドイツに侵略され、
その終戦から10年後の1928年にガブリエルさんは生まれました。
そして1939年から1945年までの6年間、
第二次世界大戦で、ベルギーはふたたびドイツの侵攻を許してしまいます。
その時ガブリエルさんは多感な10代の少女。
そんな時代・場所で、何を見て何を考えたのでしょう。


さて、この国の中にはオランダ語・フランス語・ドイツ語を話す人々がいるのですが、
『Un jour, un chien』という原題はフランス語です。

長い間、私はてっきりアンジュールという名前の犬についての話だと思ってました。

でも、違いました。
原題の『Un jour, un chien』を直訳すると、「ある日、ある犬」という意味です。
学生のみんな、間違えないように!

この本、私の自宅にあります。
もし見てみたい学生がいたら、声をかけてください。
それではまた。

天満屋のほかの記事を読む

20151224_hp_temmya_osusume