【CSA -2025 3rd Presentation- 特別審査員】下山 郁恵さんに密着取材しました（表彰式編）

こんにちは、指導部の平田です。

先日開催された本校イベント「Creative Solution Awards -2025 3rd Presentation-」の特別審査員としてお招きした、株式会社松屋　下山郁恵さんに密着取材しました。

表彰式の様子をお届けいたします。

数ある企画の中、見事「特別審査員賞（下山郁恵賞）」に選ばれたのは…

3Dチーム（デザイン・アート科3年）「くつ下と５つの約束」です。

株式会社ニッポン手仕事図鑑からいただいた
「1930年創業の山形唯一の桐箱工房が2025年6月末に廃業しましたが、技術と文化を未来に
残していくため、ニッポン手仕事図鑑は新会社「株式会社山形よしだ桐箱店」を設立しました。
従来は果物、伝統工芸品用の桐箱を中心に製造してきましたが、今後は桐の特性を活かした
オリジナル商品を全国へ届けたいと考えています。
桐箱ならではの調湿性・防虫性・軽量性、独特の木目や高級感など、
他の木材にはない特性を活かし、20～30代が思わず購入したくなる新商品のアイデアと、
その販売（プロモーション）戦略を提案してください。」
という与件に対し、

「桐箱を梱包をするための”モノ”からコミュニケーションを生み出す”コト”へと昇華させるプロダクト。箱の中には子どもと一緒に叶えたい”約束”を書き込むカードが入っており、その約束を達成した際に桐箱にその時子供が履いていた靴下とカードをしまいます。
子どもの頑張りを一番近くで見続けたくつ下を桐箱が不変の記憶へと昇華してくれる、そんな唯一無二の宝箱です。」
という企画です。

以下、下山さんからいただいたコメントです。

【特別審査員賞（抜粋）】
まずはおめでとうございます。楽しくプレゼンを拝見させていただきました。
私は株式会社松屋といういわゆる百貨店で仕事をしておりまして、ものを売るだけではなく展覧会という企画を作る仕事をしております。
その時に大事にしていることと、今回の企画のリンク性を考えて選ばせていただきました。

私の仕事は展覧会を作ることです。宣伝や運営方法も考えていますが、自分たちで作った企画を各地の美術館や百貨店に売るという営業もしております。
その時に大事にしている指針は「この展覧会のお客様は誰なんだろうか」「誰に向かって何をしたいんだろうか」ということを、最初にすごく突き詰めて考えるところです。
考えがブレてしまうと、見た目上面白そうなことにどんどん流されていってしまって、一番届けたいお客様に届かないということがあります。

また、今は何でもウェブ上やSNS上で見られてしまいますし、それで知った気になってしまうこともあるかと思いますが、私がすごく大事に思っているもう一つのことは、実際に現場に足を運んでそれを作っている人に話を聞く、それを買っている人に話を聞くということです。

今回、この「靴下と5つの約束」のお話を聞いたときに、桐箱の特性を深く考えられている、防虫や吸湿だけでなく、その桐箱のメーカーさんが気がついていない視点にも目を向けられたところがすごくいいと思いました。
自分たちの企画の指針になるようなアイデアを考えるためには、「桐箱」について掘り下げて、掘り下げて、掘り下げていかないと見つからない。
そして、そこから出てきた「大事なものを守る」というアイデアが素晴らしいなと思っております。
このチームは、そういった一つずつの小さな積み重ねと、受賞のコメントでお話しされていたチームワークの良さで全体の企画のまとまりができたのかなと思いました。

私自身も小学生の子どもがいるので、こういった思い出ボックスがあるのはすごく良いな、また桐箱との親和性も良いと思いましたが、「本当に靴下でいいのか」「靴下だけでいいのか」「このデザインでいいのか」今後もっとブラッシュアップしていくと本当に商品になるのではないかと思っています。
今後も楽しみにしております。
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ご自身がお仕事をされる上で大切にされている想いを教えていただいた上で、受賞企画を評価いただき、さらにブラッシュアップしていくポイントもお話いただきました。
下山さんが「実際に現場に足を運んで話を聞く」ことを大切にされていることは、今回の審査会での学生に対する質問の数々からも伝わってきました。
受賞者のみならず、今回の展示会でそれぞれの企画を作り上げた全学生の心に刺さる講評をいただき、ありがとうございました。