こんにちは、指導部の戸田です。
前回の続き。
さてそんな皇居ですが、みなさんは行ったことはあるでしょうか。
その前に、立入禁止区域に無条件で入れる方がいたら是非ご一報ください、お供します。
それでは注目の『
皇居の生物相調査』、調査概要と結果から。
<第Ⅰ期 /
第Ⅱ期 /
第Ⅲ期の概要>
– 調査期間
第Ⅰ期 1996(平成8)年 ~ 2000(平成12)年
第Ⅱ期 2009(平成21)年 ~ 2013(平成25)年
第Ⅲ期 2021(令和3)年 ~ 2025(令和7)年 ←現在実施中
– 調査全体の目的
皇居内の動植物相を科学的に調査研究し記録すること
– 第Ⅱ期調査の目的
第I期調査から約10年が経過した経時的変遷を調査・解析すること
– 第Ⅲ期調査の目的
第Ⅱ期調査からさらに約10年が経過した時点での変遷を解析およびDNA情報を採取すること
<
植物相 /
動物相の主な結果>
– 1,366 種の植物と3,638 種の動物を記録した
– 植物24種、動物21種の日本初記録種が見られた
– 植物57種、動物43種の未同定(分類が難しくまだ未確定なもの)種があった
– 藻類のイシカワモズク、トンボ類のベニイトトンボ、アオヤンマ、蝶類のアカセセリ等絶滅危惧種が含まれていた

– 外来種や本来の生育域ではないものの増加が見られた
– 定量的調査の結果を照らし合わせると、健全な自然環境が引き続き良く保存されており多様な生物相が見られた
最後の項目「自然環境が良く保存されており」と全般的には締めくくっているものの、かつて1990(平成2)年当時は見られていたスイレンやイトモ、アオウキクサ等のメジャーな水生生物が姿を消していることも判明しており、目に見えないところから生態系が崩れ始めているのでは、とも懸念されるものでした(原因は川底に堆積し続けているヘドロだともいわれています)。
これまでにも触れたことがありますが、自然の変化は私たち人間の尺度では計り知れないものです。
この調査が始まって30年、まだまだどのような未来が待ち構えているのか誰も予想つきません。
食物連鎖を考えた場合これから先、動物相にも大きな影響が出てくるかもしれません。

普段は立ち入れない場所だといっても我々の生活圏とは繋がっています。
大都会における水質汚染が、大気汚染が、ヒートアイランド現象が…身近な自然を少しずつ蝕んでいっている様子が少し垣間見えたような気がします。
だからと言って今の生活を捨てて、全面的に自然回帰に舵を取るわけにもいかず。
こういった、モニタリングによる日々の微々たる変化を肌で感じるような生活を少しでも周知できる場をみなさん一人一人が作っていけるように成長し、OCHABI生の発想力で発信とムーブメントと起こすことができたら、それは我々人類の歴史上大きな一歩なのかもしれません。