【OCHABIの視点】環境を知ろう 都市編 水道事情③生きた企画提案書作り

前回では今ある下水道の維持には、時間もお金も人も足りないことがわかってきました。
税収が減少してきている今日、公共施設の維持管理にはみな無い無い尽くしの様相が強いのですが、
ところで下水道のようなインフラストラクチャー(infrastructure、正式名ですよ)はどのような維持管理がされているのでしょうか。
 
実際の維持管理には自治体から委託を受けた業者が当たっています。
いわゆる専門業者になるのですが、これまでは補修など一つの案件毎にオークションのような競争入札が行われ落札者が作業を行ってきました。
しかし先に述べたように水道管総延長49万㎞の前に無い無い尽くしの状態ですので、準備・調査→入札→作業→報告→支払といった一連の手続きを一つ一つやっていては到底全てに手が及びません。
その結果が大都会のど真ん中でマンホール蓋が吹っ飛んだという衝撃的なニュースを生んだのです。
そこで近年では地域を一塊りとし、「包括」という名目で維持管理各業務をまとめて委託する傾向にあります。
メリットとしては受注期間中、同じ企業が長期にわたりその地域の業務に当たるので勝手がわかる・作業がしやすくなるということや地元企業の雇用促進や技術育成に繋がることです。
一方でデメリットとしては、受注すると企業内ではそれ以外の業務が滞ってしまう恐れがあること、技術面や価格競争では大手企業が有利になってしまうこと等が挙げられます。
 
さて仕事として「包括」的維持管理を受注するためには企画書や提案書が必要となります。
 
 
中には業務内容を記載するのはもちろんですが、加えてコレといった企画の記載が欲しいところ。
下水道の維持管理において目玉企画と言えばストックマネジメントにおけるAI予測技術の導入や管内自動走行カメラの開発など、年を追う毎に新しいものが試されているようです(リンク)。
また、リンク先にある『企画提案書』内p.32~では以下のような事柄を記すよう問われています。
 
■【8 技術継承・教育に関する提案】
 本市職員への技術継承・教育に向けた取り組みについて記載すること。
■【9 安全管理・危機管理の提案】
 緊急時において想定される事象と基本的な考え方について記載するとともに、
 緊急連絡体制及び組織的なバックアップ体制等について記載すること。
■【10 地域貢献に関する提案】
 地域の人材、本市施設に精通した市内企業を活用した実施体制について記載するとともに、
 地域(住民等を含む)との連携及び協働への取り組みについて記載すること。
 
これらを記すにあたり、いつ、どこで、誰に、どのようなことをして将来はどうなるのかが伝わるように注意します。
まさにOCHABIで日々やっていることを応用できないでしょうか。そこにイメージ図があれば最高です。
 
どこの業界もそうなのですが、事業というのは大手企業が一つのモデルケースを作り、それがうまくいってしまうとどの業者も追随して横並び状態になってしまいます(授業で学ぶ「競争地位四類型」ですね)。
「恋は盲目」という言葉がありますが、毎日そればっかりを追っていると、周りが見えなくなるのと同じですかね(小生の経験では…、聞かないでください)。
生き残っていくために、他とは違う目玉を探すべく様々な視点から生まれる革新的なアイデアを業界のみならず社会全体が常に求めています。
 
 
産学連携成果発表会でのOCHABI生みなさんのアイデアを各クライアント様が高く評価してくださっているのはこのような流れにしっかりと合致しているから。
既定路線ではなく私たちOCHABIにしかできない、そんな“吹っ飛んだ”提案が求められているのではないでしょうか。