こんにちは、指導部の戸田です。
自然林のような森に入って見上げると、空をほとんど隙間なく葉っぱが覆っている風景が見られます。
里山林のような木漏れ日はあまり見られません。
このような森では両隣の木々がお互いに干渉しないように、上手いこと空間を取り合っているのですね。
今風に言うと木々の“ソーシャルディスタンス”、一般的にはクラウン・シャイネス(シャイな樹冠)といいます。
地球に降り注ぐ太陽の光を上層部で余すところなく受け止めているのです。
上部の一番よく光が当たる部分には薄い赤色から黄緑色の若い葉っぱが生えています。
一方であまり光が当たらなくなった下部の葉っぱは秋でもないのに茶色になって落葉しかかっています。
木は光合成によって成長します。
生き延びるために、少しでも早く、そして多くの光を得ようと空間に枝葉を伸ばし、自分の領域を広げるよう努力しているのです。
いわばは木々の光獲得競争の結果とも言えます。
よく森林はメンタルヘルスを向上させるシーンおいて広く利用され、木の緑は目に優しい、ストレスを解消するといわれます。
今回触れた光をめぐる本件は生態学者の間では毎度注目されるテーマですが、その裏で今日も森では熾烈<しれつ>な生存競争が繰り広げられているのはあまり知られていません。
まるで現代社会を鏡に映したかのようですね。
次回は、葉っぱに代表されるような「緑」を表す伝統的な色名について考えてみたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
→持続可能な開発のための教育(ESD)
→プロジェクトベースドラーニング(PBL)
→交通と立地(在学生インタビュー)