第2章 デザインの本質とは
「人が創るものは全てデザインされている」と考えると、人類史はデザインの歴史であり、デザインは「人が生きていくためのDNA」でもあるといえます。
雨が降れば不快で屋根をデザインしました。寒ければ獣の皮を身につけたと思います。
川から水を引いて水道もデザインしたでしょう。
では、なぜ現代人はデザインを誰かの専門職と思うようになったのでしょうか。
それは私たちが高度なデザイン社会に生きているからです。
生まれた時から多くの不快が解決されていたからです。何かが壊れても誰か専門の人に頼めば直してくれます。
結果、不快を不快と感じる感性や感度が大きく後退しているからです。
現代では、不快は個人の不満でしかない感受性レベルへと後退しています。
だから最初に自分の意識下に眠るデザインの本能を呼び覚ますことが必要です。
つまり不快を不快と感じる感性の再生です。不快を不快と感じる感性こそが、常識を超えるまったく新しいデザインを生み出せる力になるということです。