【CSA -2024 3rd Presentation- 特別審査員】川﨑朱美子さんに密着取材しました(総評編)
講師の清水です。
ネーミングは、第一の広告といわれています。
新しい商品をデザインする時や、新しい本を出版する時に大事なのは、世にある物の二番煎じ的なモノを創りだすだけでは、本物のヒット商品へと大化けするのは無理です。実際には二番煎じ的なモノで利益を狙う商売も多いことは多いのですが、オリジナルの価値は世界で認められる、基本的なクリエイティブ・スタンスです。
今回ベストユーモアデザイン賞を獲得した中山みなみさんの本のネーミング、つまり本のタイトルや帯びの部分のキャッチコピーは、人が手に取るに値する魅力にあふれたもので構成されていました。
「タメにならない!」というタグコピーの下に「失敗攻略本」という表紙タイトル大文字。
下部の帯び的部分には、「ああ、今日も失敗した。」という中サイズ文字。
「ため息をつく前に読みたい失敗だらけのおかしな一冊」という小サイズ文字という構成になっており、次々と視線が移動しやすくなっています。
これは単なるデザイン・レイアウトの話ではなく、人の興味をキャッチする世の中のモノゴトは、人の視線を上手に誘導する情報構造が工夫されています。特に本は、タイトルで売り上げが決まります。商品はネーミングですが、本はタイトルです。タイトルで人が手にとって中を読むかどうかが決まります。
因みに「失敗攻略本」は、成功だけを前提にするゲームの攻略本コーナーに置いたら効果抜群だという特別審査員川田先生の意見もあったほどです。
作品を創ったことだけに満足しないで、どのように新しいかを一言で表すこと。
伝えること。
このことにエネルギーをかけてください。