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アートの読み解き19 世紀~20 世紀(1)19 世紀末に登場したクロード・モネに代表される印象派を考えてみます。光や影など多くの情報を描き込む写実的技法は、産業革命で生まれた写真機の発明でリアルであることの意味を一気に失いました。さらに絵の具のチューブが発明され日中の外界を描くことが可能になりました。外は太陽光が常に移動する環境なので、光源を安定させて描く写実には向きません。そこで登場したのが印象的な描き方です。印象とは情報を自分の価値観のフィルターに通してフォーカスし、最も印象的なアウトプットとして描く手法です。パブロ・ピカソは、青の時代やばら色の時代、そしてキュビズムなど多くの描画法の遍歴があることで有名です。しかしその遍歴を冷静に観るとアートの歴史を忠実に踏んでいます。写実的な描き方から始まって、印象派のような色調を学び、モネが描いた異なる時間の同居を経て、やがて全てのアート史になかった、多時間性と人が持つ多感情を一つの画面に構築するキュビズムを開発したといえます。Claude Monet Pablo Picasso
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